
母の施設体験入居4日め。
朝から雨がしとしとと降り、路面は濡れていた。
今日は朝一番に自宅の加湿器をを母の部屋に届けに行く。
母はベッドで静かに休んでいた。
昨日、介護長と話し合った結果、母は昨夜の食事から別棟の食堂で全介助で食べさせてもらうことになった。
自室で食事という手も考えられたが、やはり忙しい食事どきに母一人を介助するのにヘルパーさん一人を丸々抱えてしまうのは無理のよう。
でも結果的に、別棟の食堂は静かで、端の方の席にしてもらったおかげもあり、母が嚥下困難で食物を吹き出したり時間がかかっても他人の目を気にせずに食べることができた。
遠くからそこでの食事の様子を観察したら、以前の食堂での状況よりもずっとましだった。
一つ一つの問題を、最初からあきらめてガマンするのではなく、まずは正直な感想を施設側にぶつけ、対話を繰り返し、どういうふうに誠意を見せてもらえるかを観察することが必要だと感じた。
だから、体験入居制度は絶対になくてはならないものであることがわかった。
もうひとつ、体験入居制度は、入居しようとする人は言うまでもなく、大切な存在を入居させようとしている家族にとっても日本の集団的介護の実態の良い面、悪い面を実際に体感する大切な時期である。
うちの場合なんぞは母本人よりも、父やわたしの方が少々過敏に反応してしまっていたかもしれない。
それでも日がたつにつれ、だんだん慣れてきたせいか、あるいは施設側がきちんと誠意を持って対応してくれているのが見えるせいか、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
母はそんなわたしたちの気持ちを知ってか知らずか、今日はわりと口数も多く、3時頃には小豆のアイスが食べたいというのでわたしがハーゲンダッツを買って食べさせると、おいしそうにぺろりと平らげてしまった。
夜、雨露に濡れたジンチョウゲの香りを嗅ぎながら帰り道を急いだ。
母を預けてもだいじょうぶかもしれないな。
きっと..たぶん..。



