「いぬばば」とマロ(シーズー)のたわいない話
 楽園 or 地獄
2007年02月25日 (日) | 編集 |
070225

<見て、見て、アタシの新しいおもちゃ。100円には見えないでちょ?>

体験入居6日め。
何事もなく、平穏に過ごせた日が二日続いた。

昨日は朝から晴れだったものの突風の吹き荒れる寒いお天気だった。
今日も一段と寒さが増していた。
自転車をこぐ顔に真っ向から冷たい風がふきつけ、肩に力が入ってしまうほど。う〜さぶっ、近いんだから歩けよ、と自分にダメ出しする。

3分ほど走ってお花屋さんの前を通ったとき、赤くてかわいい小さな鉢に入った多肉植物が目に付いて衝動買いしてしまった。
日当たりのいい母の部屋に置くことにした。
母の部屋は、カーテン越しの眠くなるようなやわらかな日差しに満ちていた。
案の定、私が入室したのも気づかずに母は気持ち良さそうに眠っていた。
耳元で「グッモーニン!!」って言っても、頬を触っても起きやしない。
よほどの爆睡のようだからそっとしておくことにした。
少しすると、主任さんが母のためにとろみをつけたリンゴジュースを持って来てくれた。
「ぽかぽかと気持ちいいみたい。ぐっすり寝てるでしょ。私が来たのも知らないんですよ」と主任さんの顔を見ながら言うと、主任さんはくすっと笑ってた。
母の顔に目を落としたら、ぱっちりと大きく目を開けていた。
「なあんだ、起きてたの〜?」


一週間近く経って、ようやく介護施設という所に対して自分が適応しつつある。
改めて一週間前の自分をふりかえってみると、私の中には相反する2つのイメージが存在していたことに気づかされた。
一つは、とても楽観的なもの。
病気の有無があるとはいえ、同世代の方々、同じ時代の苦楽を味わって来られた方々が集う場所だから、大きな家族とは言わないまでも、話題に事欠かない和気あいあいとした場所ではないか、というおめでたい発想。
もう一つは、介護施設に関する閉鎖的で暗い、いわゆる悲観的なイメージ。
これはメディアを通じて耳に入る情報にもとづいて生じる不安も大きく影響している。
でも母のいる場所は楽園や花園でもなければ,地獄でもない。
いろいろな事情があって入居している方々の介護付き集合住宅というだけの所なのだ。

母は今のところ、施設やそのスタッフに対して拒絶反応をいっさい示してはいない。
たまに、食事がスープみたいなものばかりと文句を言うくらい。
四六時中笑顔というわけでもないが、いたって普通に静かに毎日を送っているといった感じだ。

蓋を開けてみたら、嵐を巻き起こすと思っていた母はとても落ち着き払い、逆に目を白黒させていたのは父と私の方だった。